Hi Betty!

お出かけに行く話 #2

「君、確かリンドブルムに詳しかったよね?」
「うん?まあ、彼処は俺にとって故郷みたいなもんだけど…。もしかして、行くの…?」
「ああ、これから向かうんだ。」
「これからあ!?」

壁越しに突然大声が聞こえてくる。恐らくは、ジタンの声。芝居を観た後、クジャがジタンに話があるらしくアレクサンドリア城に寄ることになった。ジタンと顔を合わせるなり、2人きりで話したいということで、私は隣の部屋に移されて、現在に至っている。リンドブルムには、それが終わってから向かうそうだ。

「おいおい、これから向かったらあっちに着く頃には夜中だぜ?店なんてどこも…」
「1泊すればいい話だろう?そこでだ。」

ジタンの言葉を遮り、クジャはテーブルに一冊の雑誌を叩きつけた。

「いろいろと聞いておきたいことがあってね。君にくらいしか頼む宛がないんだ。」
「それならもっと慎みを持った頼み方をしてもらいたいもんだぜ…。」
「責任、だよ。」

半ば、呆れた表情をしていたジタンが、“なんかしたっけ?”とでも言いたげに不思議そうに顔を上げる。

「大方、君が#name#に何か吹き込んだんだろう?ま、旅行には丁度良いからいいんだけど。」
「…なるほど、そういうことねぇ。」

先程、置かれた雑誌に目をやり、ジタンは困ったように頭を掻いた。


***

「夜中…」
「大陸の端から端を移動してきたんだ。これぐらいの時間はかかるよ。はい、君の分。」

僕は、彼女にスーツケースを手渡す。

「もう出るの?」
「うん、出るよ。」
「でも、店なんてどこも閉まってるよ。」
「今日は泊まるんだよ。」
「うーん。珍しいね。」

髪をアップにして、レースのアメリカンスリーブが特徴的なアンクルラインのドレスを纏った彼女は、僕の顔をじっと見つめるがすぐ視線はスーツケースに移され、飛空挺の出入り口の方へ行ってしまった。それに続いて、僕も飛空挺を後にする。飛空挺用の入口は、閉まっている時間帯なので今日は地上から街に入ることになる。外では、先に出た#name#が夜風にドレスの裾をひらつかせながら、僕を待っていた。こうしてみると、このドレスもけっこう様になっている。この前までは、どちらかというと可愛らしい服装をしていたのに、随分と大人びたものだ。

「ねえ、クジャ。泊まるとこって、商業区じゃないの?」

エアキャブの駅に入ろうとすると、#name#が袖を引っ張る。そういえば、彼女は以前ジタン達と何度かリンドブルムに来たことがあると言っていた。彼女の言うとおりホテルは商業区にしかない。…普通のホテルは。

「今日は劇場街だよ。」
「劇場街…」

#name#の表情が曇る。それもそうかもしれない。彼女には恐らく、そういった類の場所に出入りする機会など今までになかっただろうから不安もあるのだろう。

「嫌だったら無理しなくてもいいよ。僕は君と居れればそれで充分だから。今日はやめとくかい?」
「ん………何の話?」

少し考え込んだ後、ぽかんとして僕を見上げるシェリー。この子、何も分かっていない。どうやら無駄な心配をしていたようで、阿呆みたいだ。

「………。」
「…なんかしたの?私、いまいち流れ、掴めてないんだけど。」
「…今から、君にも分かるように教えてあげるよ。」
「ん…、あっ。」

能天気にいかにも他人事と言わんばかりの台詞を紡ぐ彼女の唇へ、黙らせるかのように強引に自分の唇を重ねた。咄嗟に彼女の手が僕の胸板を押すが、ろくに力が入っていないので、気にせずにじりじりと壁際に追い込む。彼女の背中が壁に密着したところで、腰に手を這わせ、そのままドレスの裾を捲し上げて太腿をゆっくりとなぞってみせた。

「こういうこと、しに行くんだよ。」

耳に息がかかる距離でいつもより色っぽく囁けば、#name#は慌てて顔を背けて後ずさろうと足を引いた。しかし、壁が邪魔してこれ以上後ろへ下がることはできず、困ったように眉尻を下げた彼女は、何かを訴えるように僕のジャケットの袖を掴む。本当はすぐに引き上げる予定だったが、S心を擽られた僕はもう少し彼女を苛めてやりたくなった。

「クジャっ…」

僕の名前を呼ぶ口を再び塞いで、ゆっくりと内腿を撫で上げる。深夜なだけあって人通りがないことが有り難かった。小さく首を横に振り、身体を捩らせ抵抗を見せる彼女だが、次第に心地良くなってきたのか力が抜けていき、僕の首に腕が回される。そんな姿が滑稽で、可愛らしかったので、そっと下着越しに敏感な部分に触れた。

「もう濡れてる。」
「…!」

彼女はビクッと肩を上げ、瞑っていた瞳を見開き、上目に僕を見やる。
「そんなに気持ちよかったのかい?」
「…んっ、やだ、だめ。」

意地悪に尋ねつつ、割れ目をなぞり、小さな突起を弄ぶ。再び#name#がいやいやと首を振り始めるが、そのまま続行した。硬さを帯びてきたかと思うと、彼女の手が僕の手首を捕らえた。

「クジャ…」

彼女に目をやると、上気した頬のままうっすらと目に涙を溜めている。

「わかったよ。少しやりすぎたみたいだね。」

僕は彼女の頭を撫で、指で涙を拭ってやる。どういう反応を返せばいいか分からないのか、まだ熱っぽさが抜けない瞳はただ瞬きを繰り返す。

「後でまた、ね?」

壊れ物を扱うように抱き寄せて頭上で問いかければ、腕の中で縦に頭が動いた。

「じゃあ行こうか。」

額に唇を落とし、彼女の手を引いて、エアキャブ乗り場へと向かう。